よくわからない場合は、あなたの本籍地(=戸籍のある場所)のある場所の市区町村の役所に行って、「離婚したのですが、戸籍や名字の手続きについて教えてください」と聞いて、役所の係の人に1つ1つ確認してもらいながら手続をしてください。
自分の本籍地が良くわからない場合は、住んでいる場所の市区町村役場に行って、調べ方を聞いてください。
1.戸籍ってなに?
1-1.戸籍とは
戸籍というのは、その人の氏名、生年月日、死亡年月日、家族関係などを記載し、身分を証明する文書です。
原則として、夫婦+未婚の子ども(子どもが成人している場合も含みます)で1つの戸籍を作ります。
家族で1つの戸籍を作ると考えるとわかりやすいと思います。
ただし、同じ戸籍には親・子の2代しか入ることはできません。つまり、祖父母・親・子の3代で同じ戸籍に入ることはできません。この場合は、「祖父母で1つの戸籍」、「親と子で1つの戸籍」というように分けます。
1-2.戸籍と姓(名字)
戸籍を作る際には、「筆頭者(ひっとうしゃ)」を決めなければなりません。
戸籍には、家族の名前がいくつか書かれますが、その中で一番最初に名前が書かれている人が「筆頭者」です。
家族のリーダー的な立場の人が「戸籍の筆頭者」であると考えるとわかりやすいと思います。
戸籍の筆頭者の姓が戸籍に記載されている家族全員の姓になります。
違う姓の人が同じ戸籍に入ることはできません。
2.離婚後の戸籍と姓をどうするか?
2-1.離婚後の妻の姓(苗字)についての3つのパターン
離婚後の姓(苗字)については、以下のようなパターンが考えられます。
①妻が結婚で夫の姓になった→離婚後は旧姓に戻るパターン
②妻が結婚で夫の姓になった→離婚後も夫の姓のままでいるパターン
③妻が結婚しても旧姓のまま(夫が婿養子で夫の姓が結婚で変わった場合)→当然、妻は離婚後も旧姓のまま
2-2.①妻が結婚で夫の姓になった→離婚後は旧姓に戻る場合の戸籍
妻が結婚で夫の姓になった→離婚後は旧姓に戻る場合の戸籍のパターン
- 結婚前の親の戸籍に戻る方法
離婚後は旧姓に戻りたい場合は、親の戸籍に入って親の姓(旧姓)を名のるという方法があります。 - 妻を筆頭者とする新しい戸籍を作る方法
離婚後は旧姓に戻りたい場合は、妻とその子どもあるいは、妻1人だけで、新しい戸籍を作るという方法もあります。
親の戸籍が除籍されている(戸籍がなくなっている)とき→新たな戸籍を作るしかない
「除籍」というのは、その戸籍がなくなっていることを言います。
妻の両親が2人とも亡くなっていて、結婚前の戸籍に誰もいなくなって戸籍がなくなってしまっている場合などがこれに当たります。
この場合は、親の戸籍には戻れないので、新しい戸籍を作るしかありません。
妻と子どもが同じ戸籍に入りたいとき→新たな戸籍を作るしかない
1つの戸籍には親子2代までしか入れません。つまり、祖父母・母・子というような3世代の戸籍を作ることはできません。
したがって、妻とその子どもが同じ戸籍に入りたいときは、妻を筆頭者とする新しい戸籍を作る必要があります。
親の戸籍がある+妻が親権を有する子もいない場合→親の戸籍に入っても、新たな戸籍を作ってもどちらでもよい
この場合は、どちらでもよいですが、新たな戸籍を作る人が多いと思います。
旧姓に戻る+親の戸籍に入る場合の手続
この場合、 離婚届に記載するだけで手続きは終わります。
離婚届に「離婚後に親の戸籍に戻る」あるいは「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」かを選んでチェックする箇所があります。
離婚届の「離婚後に親の戸籍に戻る」にチェックした場合は、それ以外の手続きをせずに、親の戸籍に入って、旧姓に戻ることになります。
旧姓に戻る+妻を筆頭者とする新たな戸籍を作る場合の手続
この場合も、 離婚届に記載するだけで手続きは終わります。
離婚届に「離婚後に親の戸籍に戻る」あるいは「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」かを選んでチェックする箇所があります。この「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」にチェックを入れます。
そして、「婚姻前の氏に戻る者の本籍」という欄があるので、そこに新しい本籍地を記載します。
本籍地は自由に決められますので、現在の住所地でも、離婚して引っ越すようであればその住所地を本籍地としてもかまいません。
この離婚届の手続きだけで、新しい戸籍の作成と、旧姓に戻る手続きは終わりです。
ただし、今後、パスポートを作るときや相続の手続きをするときなど、いろいろな手続きをするときに本籍地にした場所の役所で戸籍謄本をもらわなければなりません。
なので、自分の住む場所を本籍地にした方が良いです。なお、本籍地はいつでも変えることができます。
2-3.②妻が結婚で夫の姓になった→離婚後も夫の姓のままでいる場合の戸籍
この場合は必ず新しい戸籍を作らなければならない
姓が違う人は同じ戸籍に入ることはできません。
なので、妻と親は姓が違ってしまっているので、妻は親の戸籍に戻ることができません。
この場合は、妻を筆頭者とする新しい戸籍を作る必要があります。
新しい戸籍を作る+結婚中の姓を名のる場合の手続
「離婚の際に称していた氏を称する届書」の提出が必要です。
届出できる人
本人
届出期日
離婚の日から3か月以内
*離婚の日とは、協議離婚の場合、届出の日(届出受理日)、裁判離婚の場合、裁判の確定の日等となります。
*届出の期日(3か月目)が役所の休日の場合、その日以降の最初の開庁日
届出場所
・本人の本籍地の市区町村役所の戸籍担当に持参して提出
・本人の住所地の市区町村役所の戸籍担当に持参して提出
・本籍地に郵送
のいずれでもOKです。
必要なもの・届出書類
- 「離婚の際に称していた氏を称する届」
「離婚の際に称していた氏を称する届」の用紙は、届け出をする市区町村役場でもらってください。市区町村のホームページからダウンロードできる場合もあるので確認してください。 - 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
自分の本籍の市区町村役場に届け出る場合は、戸籍謄本は不要です。
結婚中の姓を使うと届け出た後で旧姓に戻すのは困難だから、慎重に判断してくださいね。
2-4.③妻が結婚しても旧姓のまま→離婚後も旧姓のまま
この場合は、姓も戸籍も変わらないので、何の手続もいりません。
もともと妻の姓を名のって、妻の戸籍に入っていた夫の方が、姓や戸籍についての手続きをすることになります。
離婚届に「離婚後に親の戸籍に戻る」あるいは「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」かを選んでチェックする箇所があります。
離婚届の「離婚後に親の戸籍に戻る」にチェックした場合は、それ以外の手続きをせずに、親の戸籍に入って、旧姓に戻ることになります。
3.旧姓に戻る+妻を筆頭者とする新たな戸籍を作る場合の手続
この場合も、 離婚届に記載するだけで手続きは終わります。
離婚届に「離婚後に親の戸籍に戻る」あるいは「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」かを選んでチェックする箇所があります。この「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」にチェックを入れます。
そして、「婚姻前の氏に戻る者の本籍」という欄があるので、そこに新しい本籍地を記載します。
本籍地は自由に決められますので、現在の住所地でも、離婚して引っ越すようであればその住所地を本籍地としてもかまいません。
この離婚届の手続きだけで、新しい戸籍の作成と、旧姓に戻る手続きは終わりです。
ただし、今後、パスポートを作るときや相続の手続きをするときなど、いろいろな手続きをするときに本籍地にした場所の役所で戸籍謄本をもらわなければなりません。
なので、自分の住む場所を本籍地にした方が良いです。なお、本籍地はいつでも変えることができます。