離婚の慰謝料とは?
夫あるいは妻に慰謝料を請求する方法
離婚の際に慰謝料を請求する
離婚の方法には、協議離婚と調停離婚と裁判離婚があります。 参考:離婚の3つの方法:協議離婚・調停離婚・裁判離婚ってなに? |
協議離婚(夫婦で話し合って離婚届を出す離婚)を行う場合
離婚の話し合いの中で慰謝料の金額も決めます。
慰謝料の額については、法律上の決まりはないので、金額・支払方法・支払期限などについて夫婦で自由に決めることができます。
その際に、決めたことは公正証書にしたほうがよいです。
参考:協議離婚ってなに?:夫婦で話し合って離婚届を出す離婚
調停離婚(調停委員をはさんで夫婦で話し合う離婚)を行う場合
協議離婚がまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになりますが、その離婚調停の際に慰謝料の問題も話し合います。
調停離婚も夫婦で話し合って離婚を決めるので、金額・支払方法・支払期限などについて夫婦で自由に決めることができます。
裁判離婚(離婚裁判)を行う場合
調停でも解決ができない場合は、離婚訴訟とともに離婚にともなう慰謝料を請求する訴訟を起こすこともできます。
裁判の場合は、夫婦双方の主張を聞いて、裁判所が慰謝料を支払うべきか、支払うならその額を判断することになります。
離婚手続きとは分けて慰謝料を請求する
離婚の手続きの際に、慰謝料も合わせて請求するのが一般的ですが、離婚が成立した後に慰謝料を請求するなど、離婚の手続きとは分けて、慰謝料を請求することもできます。
当事者で話し合って合意する場合
慰謝料の額については、法律上の決まりはないので、金額・支払方法・支払期限などについて夫婦で自由に決めることができます。
その際に、決めたことは公正証書にしたほうがよいです。
裁判で慰謝料を請求する場合
裁判の場合は、夫婦双方の主張を聞いて、裁判所が額を判断することになります。
裁判の場合は、夫婦双方の主張を聞いて、裁判所が慰謝料を支払うべきか、支払うならその額を判断することになります。
夫婦以外の者(不倫相手など)へ慰謝料を請求する方法
慰謝料請求ができる相手
不倫相手
不倫相手に慰謝料が請求できるのは、夫(妻)が既婚者であると知りながら肉体関係を持った場合です。
不倫相手が夫(妻)を既婚者だと知らなかった場合は、慰謝料請求は認められにくいです。肉体関係がない場合も慰謝料請求は認められにくいです。
また、夫婦関係が壊れてしまった後に、不倫が始まった場合も、不倫相手の存在が離婚原因ではないため、慰謝料請求は認められにくいです。
姑などの親族
姑などの親族から肉体的暴力やひどい言葉のいじめがあったような場合は、姑などに対して、慰謝料請求をすることができます。
ただし、嫁姑の対立で夫婦仲が悪くなり離婚するような場合は、離婚の原因になったことに対しての姑への慰謝料請求は認められにくいです。
夫婦以外の者への慰謝料請求の方法
当事者で話し合って慰謝料を支払う合意する場合
慰謝料の額については、法律上の決まりはないので、金額・支払方法・支払期限などについて当事者で自由に決めることができます。
その際に、決めたことは公正証書にしたほうがよいです。
調停で慰謝料を請求する場合
調停委員をはさんで、相手方と話し合いをして、金額・支払方法・支払期限などについて当事者で決めます。
*離婚調停は家庭裁判所で行いますが、夫婦以外の者への慰謝料請求の調停を行うのは簡易裁判所です。
裁判で慰謝料を請求する場合
裁判の場合は、当事者双方の主張を聞いて、裁判所が慰謝料を支払うべきか、支払うならその額を判断することになります。
*夫婦以外の者への慰謝料請求と離婚原因が関連している場合(不倫を理由とする離婚の場合に不倫相手に慰謝料を請求するなど)、離婚訴訟とあわせて不倫相手などへの慰謝料請求の裁判をすることもできます。
離婚の慰謝料の金額
協議離婚や調停離婚の際に、夫婦で話し合って慰謝料を決める場合は、夫婦双方が納得すれば慰謝料の金額はいくらでもよいのです。
ただし、慰謝料の請求について夫婦で話し合いがまとまらなかった場合には、最終的には裁判で慰謝料の額が定められることになります。
そのため、話し合いで慰謝料を決める場合も、裁判では同じようなケースでいくらの慰謝料が認められているかということが、目安になるでしょう。
離婚の慰謝料の相場
浮気・不倫 | 約100〜500万円 |
別居など(悪意の遺棄) | 約50〜300万円 |
DV | 約50〜300万円 |
性行為の拒否 | 約0〜100万円 |
離婚の慰謝料の判断材料
離婚の慰謝料は、様々な事情を考慮して判断されます。
慰謝料を高くする事情
離婚原因を作った相手の責任の大きさ
不倫の期間が長い、不倫相手との間に子どもができた、何度も暴力をふるうなど、相手の責任が大きいと慰謝料が高額になりやすいです。
精神的苦痛や肉体的苦痛の大きさ
DVによるけがが重症である、夫(妻)が原因で鬱になったなど、苦痛が大きい場合は請求額が高額になりやすいです。
婚姻期間の長さ
婚姻期間が長いと精神的苦痛の度合いは大きいとされ、慰謝料が高額になりやすいです。
相手の経済力や社会的地位の高さ
相手の財産や収入、社会的地位がが高いほど、慰謝料が高額となりやすいです。
未成年の子どもの数
未成年の子どもがいる場合は慰謝料が高額になりやすいです。未成年の子どもの人数が増えればば、さらに高額になります。
慰謝料を安くする事情
慰謝料請求をする側にも問題がある
夫の不倫を理由に慰謝料を請求する場合に、妻の側も不倫をしていた場合などは、慰謝料が安くなるかそもそも慰謝料請求が認められません。
財産分与で経済的に満たされる場合
相場より高額な財産分与がなされる場合などは、慰謝料の額はその分安くなることもあります。
離婚の慰謝料請求ができる期間
離婚の慰謝料請求は、原則として3年で時効となりますので、離婚が成立した日から3年を経過してしまうと、慰謝料を請求することができません。
ただし、暴力などの生命・身体を侵害する行為の慰謝料請求権の時効は5年です。
*離婚したこと自体の精神的苦痛に対する慰謝料請求は、離婚が成立した日から3年経過すると請求できなくなりますが、不倫や暴力などの行為そのものに対する慰謝料請求は、その行
慰謝料請求ができる場合・できない場合
相手に責任があると言えない場合
相手が不倫をしたが、その前にすでに夫婦関係が壊れていた場合(不倫の前に5年以上別居していたなど)や、性格の不一致が離婚原因で夫婦どちらかに責任があるとは言えない場合などは、慰謝料請求が認められません。
相手に支払い能力がない場合
慰謝料請求をすること自体はできます。しかし、相手に支払能力がない場合や差し押さえられる財産がない場合には、請求が認められても、慰謝料を支払わせることは困難です。
相手が生活保護を受けている場合
離婚の慰謝料を請求すること自体はできます。しかし、相手方が生活保護の受給者である場合、生活保護費に対して、差し押さえや強制執行はできません。
離婚をしなくても慰謝料は請求できるのか
不倫やDVなどの場合、離婚をしなくても、夫(妻)や、その浮気相手に対して慰謝料を請求することができます。
慰謝料と税金
離婚の慰謝料が現金で支払われた場合、原則として非課税となりますので、税金はかかりません。ただし、慰謝料があまりにも高額な(社会通念上相当の金額を超える)場合、贈与とお選びいただくとよいでしょう。