婚姻中から離婚成立まで(あるいは別居解消までの間の)の婚姻費用を請求することができます。
たとえば、妻が専業主婦で夫が生活費を支払ってくれない場合に、妻は「婚姻費用」として、生活費や子育ての費用を請求をすることができます。
1.婚姻費用の請求は自分でできます
婚姻費用を相手と話し合って決める場合
弁護士に頼まなくても、自分で相手と話し合って決めることができます。
婚姻費用の金額はネットで「婚姻費用算定ツール」を探して計算すればよいです。
婚姻費用の合意書は、テンプレートに書き込めば簡単に作れます。
これを公証役場にやり方を聞いて、公正証書にしてください。
内容証明郵便を送って相手に請求する場合
この場合もテンプレートをあげているので、自分で作ることができると思います。
調停で請求をする場合も、家庭裁判所で手続のやりかたをくわしく聞きながらやれば、弁護士に頼まなくてもできると思います。
調停をする場合
この場合も、家庭裁判所に行って、調停の手続きのやり方を聞けば、自分でできると思います。
2.弁護士に頼んだ方がいい場合
婚姻費用算定ツールで出した額よりも高額な婚姻費を請求したい場合は、弁護士に頼んだ方が良いと思います。
また、婚姻費用の話合いや、内容証明郵便での請求、調停を自分でやるのが難しそうだと思う場合は弁護士に頼んだ方が良いと思います。
3.婚姻費用の分担請求調停の具体的な手続
3-1.調停とは
調停では、家庭裁判所で調停委員に1人ずつ自分の意見を伝え、婚姻費用について話し合って結論を出します。
3-2.離婚せずに婚姻費用の分担請求調停のみをする場合の手続
調停で離婚は請求しないで、婚姻費用の請求だけをする場合(とりあえず、離婚はしない場合)
必要な書類
〇婚姻費用の分担請求調停の申立書
〇夫婦の戸籍謄本
〇収入印紙(1200円)
〇連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって金額が異なります)
〇夫婦の収入がわかる資料
(夫と妻それぞれの源泉徴収票や確定申告書や給与明細など)
参考:婚姻費用分担請求申立書のダウンロード 婚姻費用分断請求申込書の記入例
3-3.離婚したい場合は離婚調停と同時に申し立てる
同時に申し立てるメリット
調停の手間が省ける
調停を同時進行することで調停の回数と期間が短縮できます。
早く申し立てれば受け取れる婚姻費用の額が大きくなる
婚姻費用分担請求は申し立てた時から認められ、過去の婚姻費用の請求は認められません。
そのため、早く婚姻費用分担請求をした方が良いです。
相手が離婚を拒否している場合、プレッシャーになる
離婚を争っている限り、相手方は婚姻費用を負担し続けなければいけないことになります。そのため、早く離婚を成立させるプレッシャーになります。
同時申し立てのデメリット
離婚成立が遅れる可能性がある
婚姻費用分担についての話し合いに時間が割かれてしまい、離婚に関する調停が先送りになってしまう可能性もあります。
4-2.婚姻費用分担請求調停が不成立になった場合
婚姻費用分担請求の調停が不成立となった場合は、自動的に調停が審判という手続へ移行されます。そして、裁判官が審判という形式で婚姻費用の額を決定します。