1.協議離婚の手順
しかし、「養育費・慰謝料・財産分与などの離婚の条件を決める→それを離婚協議書にする→それを公正証書にする→離婚届を出す」ということを行ってください。
そうすれば、相手が養育費・慰謝料・財産分与などのお金の支払いをしない場合に相手の財産を差し押さえてそこから支払いを受けられるからです。
2.離婚の条件を離婚協議書に書きましょう
「離婚協議書(りこんきょうぎしょ)」とは、協議離婚をするときに、夫婦間でとり決めた離婚の条件(慰謝料・財産分与・親権者・養育費・面接交流・年金分割など)を書いておく文書です。
3.公正証書ってなに?
たとえば、「田中さんは鈴木さんから100万円のお金を借りました。」という契約書があっても、そんな借金はしていないのに、鈴木さんが勝手に作った契約書である可能性もあります。また、本当は10万円の借金しかしていないのに、鈴木さんが100万円と契約書を後から勝手に書き変えている可能性もあります。
そこで、契約書を公証役場(こうしょうやくば)というところに持って行って、公証人(こうしょうにん)という人に公正証書(こうせいしょうしょ)という書類にしてもらうと、「本当にその通りの内容の契約をしました。」という証拠になります。
離婚の場合も、夫婦で離婚の条件(慰謝料・財産分与・養育費など)を決めて、それを公正証書にすると、「夫婦で話し合ってそのような離婚の条件とすると決めました。」という証拠になります。
4.公正証書作成の手続きは自分でできる?弁護士に頼んだ方が良い?
離婚協議書の作成は弁護士に頼んだ方が良い?
弁護士に頼んだ方が安心ですが、自分で離婚協議書を作成することもできます。
自分で離婚協議書を作った場合は、自分に不利な内容になっていないか、間違いはないかということを弁護士にチェックしてもらった方が良いです。
離婚協議書を公正証書にする手続は弁護士に頼んが法が良い?
公正証書の作成手続を弁護士に頼むこともできます。
ただし、公正証書の作成の手続はそれほど難しくないので自分でできます。
やり方が良くわからない場合は、公証役場で聞けば、きちんと教えてくれます。
5.公正証書の作成の仕方
【公正証書作成の手続】
①夫婦で話し合って公正証書の内容を決める(離婚協議書の作成)
↓
②必要書類・資料を準備する
↓
③公証役場(こうしょうやくば)で公正証書の作成を依頼
↓
④公証人(こうしょうにん)が公正証書を作成
↓
⑤夫婦2人で公証役場で公正証書を確認
↓
⑥送達証明書を発行してもらう
①夫婦で話し合って公正証書の内容を決める
離婚協議書作成して、それをそのまま公正証書の内容にします。
②必要書類・資料を準備する
□離婚協議書
□実印
□印鑑証明
□戸籍謄本
【財産分与について決めた場合】
□登記事項証明書
□固定資産税納税通知書または固定資産税通知書
【年金分割について決めた場合】
□年金分割のための情報通知書
□年金手帳
③公証役場で公正証書の作成を依頼
公証役場は、全国300か所にある役所です。どこの公証役場を利用してもよいので、自宅や職場の近くなど、利用しやすい場所を選んでください。
依頼は夫婦の1人だけで大丈夫です。必要な書類を持参して公証役場に入ってください。
④公証人が公正証書を作成
依頼から1週間から1ヶ月で公正証書が作成されます。
⑤夫婦2人で公証役場で公正証書を確認
夫婦2人が公証役場に行って、内容を確認して署名捺印します。
ただし、本人が公証役場に行けない事情があるときは、公証人が認めれば、本人が指定した代理人が公証役場で本人の代わりに手続きすることもできます。
⑥送達証明書を発行してもらう
慰謝料・養育費などの金銭の支払いを受ける側は、公証役場で「送達証明書(そうたつしょうめいしょ)」という書類を発行してもらってください。
送達証明書というのは、「公正証書を確かに、相手に渡しましたよ」という証明書です。
後で説明をする強制執行をする際に、この「送達証明書」が必要だからです。
6.公正証書には執行認諾文言をつけましょう
たとえば、借金が支払われない場合、裁判所に相手の財産を差し押さえてもらって、そこから借金を回収することができます。これを強制執行(きょうせいしっこう)といいます。
公正証書に、「お金を支払わない場合は、強制執行をすることを認めます」という内容の言葉を入れることができます。これを「執行認諾文言(しっこうにんだくもんごん)」と言います。
協議離婚で、養育費・慰謝料・財産分与などについて「〇〇円を支払う」と決めた場合も、執行認諾文言が書かれている公正証書を作った場合は、相手が支払わない場合は、裁判所に強制執行をしてもらうことができます。
7.離婚後に支払いをしない場合→強制執行ができます
相手方が執行認諾文言が書かれている公正証書に記載してある、慰謝料や養育費や財産分与などの支払いをしない場合には、強制執行を行い、相手の財産を差し押さえてそこから支払いを受けることができます。
強制執行は、自分で裁判所に申し立てることも可能です。
しかし、強制執行は手続が複雑ですので、弁護士に依頼したほうが良いと思います。