離婚の方法と手続き

協議離婚をする場合は公正証書を作成しましょう

公正証書を作成したほうが良い理由

世の中の離婚の90%近くが協議離婚(夫婦の話し合いのみで成立する離婚)です。

夫婦の間で何の取り決めをしなくても、あるいは取り決めをしてもそれをきちんと書類に残さなくても、離婚届を出せば、協議離婚は成立します。

しかし、協議離婚をする際には、慰謝料・財産分与・養育費・子どもとの面会交流などをきちんと決めて、「公正証書」を作成しておくことをおすすめします。

公正証書を作成すれば、慰謝料や養育費などの支払いが滞ったときに、裁判をせずに相手の財産や給与などを差し押さえることができるからです。

公正証書の作り方

公正証書とは

公正証書(こうせいしょうしょ)とは、公証人役場という場所で、公証人という人に作成してもらった証明書のことをいいます。

公正証書の作り方

①離婚協議書を作成。

②近隣の公証人役場を探す。

③公証人役場に問い合わせて必要な書類を確認する。

④必要な書類を用意して、公証人役場に行く。

⑤離婚協議書の内容を元に公正証書の内容を確認し、公証人に作成依頼を行う。この手続きは30分~1時間ほどかかる。

⑥作成依頼から7~10日後で公証人が公正証書を作成。再び公証役場へ行き、完成した公正証書の内容を確認する。(このとき、夫婦そろって役場へ行き内容を確認することが必要。)

⑦内容に問題がなければ、夫婦と公証人がそれぞれ公正証書に署名と押印を行い、手数料を支払えば手続きが完了する。

公証人役場を探す

公正証書は、自分の住んでいる地域の公証役場に行って作成手続きを進めます。

最寄りの公証役場検索はこちら→日本公証人連合会

公正証書を作成する際に準備しておくもの

何を公正証書に記載するかによって必要な物が異なるので、あらかじめ公証人役場に確認したほうが良いです。

△離婚協議書
〇夫婦それぞれの印鑑と印鑑登録証明(発行から3ヶ月以内のもの)
〇戸籍謄本(発行から3ヶ月以内のもの)
〇財産分与の場合…分与する財産を特定するための書類
〇費用

離婚協議書

どのような内容の公正証書を作るかについては、公証人に口頭で伝えることもできますが、誤りがないように公正証書にする内容を離婚協議書などの文書にしておいた方が良いです。

参考:協議離婚をする際には協議離婚書を作成しましょう

財産分与について公正証書に記載する場合

財産分与の取り決めについて公正証書に記載する場合は、不動産登記簿謄本(ふどうさんとうきぼとうほん)などの分与する財産を特定するための証明書もあわせて用意してください。

参考:財産分与:離婚するときの財産のわけ方

公正証書を作成する費用

支払う金額が100万円以下の場合は、手数料は5,000円というように、手数料がかかります。

詳しくは、日本公証人連合会の手数料一覧を参考にしてください。

自分で公証人役場に行けない場合

公証人に出張してもらうことができる

忙しくて自分で手続きする時間がないなど、公証人役場に行けない場合は、公証人に出張してもらい公正証書を作成することができます。

公証人に出張してもらう場合は、日当や交通費などの負担が必要です。日当は、4時間までで1万円、1日あたり2万円となります。

さらに、証書作成にかかる基本手数料が1.5倍となるため費用負担が大きくなります。

弁護士などの代理人に公証人役場に行ってもらう

夫婦どちらかが公証役場に行くのが難しい場合や、相手方を顔を合わせたくない場合などに、委任状を用意すれば代理人を立てて公正証書の作成手続きを進めることもできます。(夫婦両方に代理人を立てて手続きすることはできません。)

代理人を弁護士に依頼すると5~8万円ほどの費用がかかります(公正証書の作成の実を代理してもらう場合)が、面倒な手続きは弁護士が対応してくれます。

公正証書の内容

①離婚協議書に定めた内容

・離婚の合意をしたこと
・未成年の子どもがいる場合は親権者
・子どもがいる場合の養育費
・子どもがいる場合の面会交流
・慰謝料
・財産分与
・清算条項
・(離婚届の届出に関連する条項)
・(守秘義務の条項について)
・(通知義務の条項について)

②強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)

①離婚協議書に定めた内容

協議離婚の際に、夫婦で話し合って決めて、離婚協議書に記載した内容を、公正証書に記載します。

具体的な内容は、協議離婚をする際には協議離婚書を作成しましょうを参照してください。

②強制執行認諾文言

強制執行認諾文言とは、「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した」という文言です。

せっかく公正証書を作成しても、この強制執行認諾文言を入れないと、相手方が公正証書に記載された債務を支払わないため、強制執行をしようとする場合に、事前に裁判で勝訴判決を得なければならなくなるからです。

公正証書がある場合の強制執行の方法

相手方が公正証書に記載した内容の支払いをしない場合には、強制執行を行うことになります。

強制執行は以下のような流れで行われます。

①公正証書を公証役場に持っていく
②債権差押命令申立書を作成する
③裁判所に申し立てをする
④差し押さえ命令
⑤債権の取り立て

強制執行は、提出書類に不備がなければ差押えが認められるため、ご自分で申し立てることも可能です。

しかし、やることが多く、手続も複雑ですので、弁護士に依頼したほうが良いのではないかと思います。

強制執行を行うためには、相手の財産を把握する必要がありますが、素人が行うと、相手の財産が見つからずに、手間や手数料だけかかって空振りになってしまうこともあるからです。

*この記事は投稿時の法律や資料に基づいて作成されています。