収入が低い人が、無料の法律相談ができたり、弁護士の料金を借りられたりする「民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)という制度です。
1.民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)ってなに?
1-1.民事法律扶助の内容
民事法律扶助というのは、収入や財産が少ない人が、無料の法律相談や、弁護士費用を借りたりできる制度です。
民事法律扶助は、全国にある「法テラス」(日本司法支援センター)という、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所が行っています。
2.民事法律扶助を利用できる人
2-1.利用者の月収が一定額以下であることが必要
申込者の手取り月収額(賞与を含む年収の12分の1)が以下の基準を超えないことが必要です。
単身者 | 2人家族 | 3人家族 | 4人家族 | |
---|---|---|---|---|
基本 | 18万2000円以下 | 25万1000円以下 | 27万2000円以下 | 29万9000円以下 |
大都市 | 20万0200円以下 | 27万6100円以下 | 29万9200円以下 | 32万8900円以下 |
家賃・住宅ローン 利用時の加算 |
+4万1000円 | +5万3000円 | +6万6000円 | +7万1000円 |
*大都市とは、東京・大阪などの場合を指します。
*5人家族以上は1人増えるごとに3万円(大都市の場合は3万3000円)がプラスされます。
*家賃や住宅ローンを支払っている場合は、限度額が加算されます。例えば、単身者の場合18万2000に4万1000円がプレスされます。
2-2.利用者が持っている財産が一定額以下であることが必要
申込者が持っている現金や預貯金等の合計が以下の額を超えないことが必要です。
単身者 | 2人家族 | 3人家族 | 4人家族 |
---|---|---|---|
180万円以下 | 250万円以下 | 270万円以下 | 300万円以下 |
3.民事法律扶助を利用する方法
①まずは自分が民事法律扶助を受ける要件を満たしているか確認
↓
②民事法律扶助をやっている弁護士を探す
↓
③法テラスに民事法律扶助の利用を申し込む
↓
④法テラスの審査
↓
⑤利用開始決定
↓
⑥事件の終了
↓
⑦弁護士費用を法テラスに返済
まずは自分が民事法律扶助を受ける要件を満たしているか確認
まずは、民事法律扶助の利用要件シュミレーションなどで、自分が収入や財産などの要件を満たしているかチェックしてみてください。
心配な方は、法テラスに要件を満たしているか問い合わせてみてください。
民事法律扶助をやっている弁護士を探す方法
全国で約23,000人の弁護士が「民事法律扶助を利用する人から依頼を受けてもいいですよ。」と法テラスと契約しています。
民事法律扶助をやっている弁護士を探すには、下記のような方法があります。
- 法テラスに連絡して弁護士を(おすすめしない)
- 自分で民事法律扶助を利用できる弁護士を探す(おすすめ!)
法テラスで弁護士を紹介してもらえるけどおすすめしない
法テラスに民事法律扶助をやっている弁護士の紹介を頼むと、その地域の弁護士が名簿順に順番に割り当てられます。
この場合、弁護士を選べません。「評判のいい弁護士にお願いしたいんです。」といっても、聞いてもらえません。
(「自分の住んでいるところに近い弁護士をお願いします。」ということは聞いてもらえるかもせ入れません。)法テラスは国の施設なので、どの弁護士がいいか悪いかを判断して、推薦することができないからです。
自分で民事法律扶助を利用できる弁護士を探す
法テラスと契約している弁護士しか、民事法律扶助(無料法律相談・弁護士費用の立て替え)は利用できません。
そこで、自分で法テラスと契約している弁護士を見つけてきて、その弁護士に民事法律扶助を利用して依頼するという方法もあります。
つまり、①知人からの紹介・②知り合い・③役所や弁護士会の法律相談・⑤ネットで探すと言った方法で、民事法律扶助が利用できる弁護士を探す方法です。
よさそうな弁護士を見つけたら、弁護士事務所のホームページの「民事法律扶助を利用できる」と書いてあるか確認してみてください。
また、ホームページに書いていない弁護士もいるので「民事法律扶助を利用できますか?」と問い合わせてみてください。
4.民事法律扶助を利用した場合の弁護士費用
ただ、民事法律扶助を利用した場合は、弁護士費用が一律できまっていて、 それは一般の弁護士費用よりかなり安いです。
4-1.弁護士費用の種類
【着手金とは】
弁護士に依頼をするときに最初に支払う費用。依頼人の望むような結果にならなかったとしても、着手金は返金してもらうことはできません。
【報酬金(成功報酬)】
報酬金は弁護士に依頼した問題が解決したとき(相手が拒否していた離婚が成立する、相手と争っていた親権が自分のものとなる、慰謝料・財産分与・養育費がもらえるなど)に支払う費用です。
最終的に自分の希望が全く認められなかった場合は、弁護士に報酬金を支払う必要はありません。
4-2.民事法律扶助を利用した場合の弁護士費用
離婚協議を依頼する場合
【実費】
=20,000円
【着手金】
=63,000円~105,000円
【報酬金(成功報酬)】
●相手から金銭や財産等をもらわない場合やもらえる金銭が下記より低い場合
=63,000円~126,000円(標準額は84,000円)
●相手から金銭や財産等をもらう場合
給付を受けられた金額が3,000万円まで=10% 3000万円を超える部分=6%+120万円
離婚調停を依頼する場合
【実費】
=20,000円
【着手金】
=84,000円~126,000円
【報酬金(成功報酬)】
●相手から金銭や財産等をもらわない場合やもらえる金銭が下記より低い場合
=63,000円~126,000円(標準額は84,000円)
●相手から金銭や財産等をもらう場合
給付を受けられた金額が3,000万円まで=10% 3000万円を超える部分=6%+120万円
離婚訴訟を依頼する場合
【実費】
=35,000円
【着手金】
=189,000円~241,500円(標準額は220,500円)
*調停から引き続いて訴訟を行う場合には、追加の着手金=157,500円
【報酬金(成功報酬)】
●相手から金銭や財産等をもらわない場合やもらえる金銭が下記より低い場合
=63,000円~126,000円(標準額は84,000円)
●相手から金銭や財産等をもらう場合
給付を受けられた金額が3,000万円まで=10% 3000万円を超える部分=6%+120万円
5.弁護士費用の支払い方法
民事法律扶助の審査に通って利用ができる場合、法テラスが弁護士費用を立て替えて弁護士に払ってくれます。
なお、裁判所へ支払うお金など、一部立て替え払いの対象外になる費用があるため注意してください。
立て替えた弁護士費用については、原則として月1万円ずつ返済することになります。
ただし、収入状況によっては返済額を減額してもらったり減額や返済を待ってもらえたりすることもあります。
そして、離婚手によって相手方から慰謝料や財産分与などの金銭などを受け取った場合は、弁護士や法テラスがその金銭をいったん預かって、そこなら弁護士費用が引かれます。
6.生活保護を受けている場合の民事法律扶助
6-1.弁護士の援助を受けている間
原則として、事件が終わるまで、弁護士費用の返済をしなくて大丈夫です。
6-2.事件が終わった後
相手方から慰謝料や財産分与などのお金を受け取った場合は、弁護士や法テラスがその金銭をいったん預かって、そのお金から弁護士費用が差し引かれます。
相手からお金を取れなかった場合は、弁護士費用は支払う必要はありません。相手方から撮ったお金が弁護士費用よりも低い場合は、受け取った金銭から弁護士費用を支払っても足りない分は、その弁護士費用は免除されます。