ここでは、親権者として認められるためのポイントのチェックリストをあげています。
また、親権を勝ち取るための証拠など、親権者となるために準備することも説明しています。
1-3-1.離婚したときにあなたは親権者になれる?チェックしてみましょう。を読んでいる人は、1から4は飛ばして、5から読んでください。[/chat]
1.親権ってなに?
親権というのは、未成年の子どもの世話をしたり、財産を管理したりする権利をいいます。
子どもは、18歳で成人しますから、子どもは0歳から17歳までは未成年で親権者が必要になります。
夫婦が結婚している間は、父親と母親の両方が親権者ですが、離婚する場合は、父親か母親のどちらか1人が親権者になります。
2.親権者を決めないと離婚できない
離婚の種類には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚があります。
どの離婚の方法をとるばあいでも、未成年の子どもがいる場合は、親権者を父か母かどちらにするかを定めないと、離婚をすることはできません。
←協議離婚・調停離婚・裁判離婚とは何かを知りたい方は開く
【離婚の種類のおさらい】
●協議離婚(きょうぎ・りこん)
…夫婦で話し合って「離婚をします。」と決めて、離婚届を出す離婚の方法。
●調停離婚(ちょうてい・りこん)
…家庭裁判所で、調停委員という男女2人の人に間に入ってもらって、夫婦で話し合いを行う離婚の方法。夫婦で「離婚します。」と決めないと調停離婚はできない。
●裁判離婚(さいばん・りこん)
…夫婦の話合いがまとまらないので、協議離婚も調停離婚もできない場合におこなう裁判で離婚。裁判官が、離婚するかしないか決定する。
3.親権者はどうやって決めるの?
3-1.協議離婚・調停離婚の場合の親権者の決め方
協議離婚も、調停離婚も夫婦で話し合って意見がまとまらなければ、離婚できません。
なので、協議離婚の場合も調停離婚の場合も、親権者が決まらないと離婚することができません。
親権者がどうしても決まらない場合は、裁判で決めるしかありません。
裁判離婚の場合の親権者の決め方
夫婦で親権者を誰にするか争っていて裁判をする場合は、裁判所が父親と母親のどちらを親権者にするか決めることになります。
4.裁判で親権者として認められるためのポイント
離婚の話し合いをする場合(協議離婚・調停離婚)の場合も、このポイントを押さえていれば「裁判になっても私が親権者になるからあきらめてください!」と言いやすいですよ。
□母親が親権者として認められやすい
母親が親権者となるのは全体の約9割、父親が親権者となるのは約1割程度です。
とくに、子どもが小さい場合は母親が親権者と認められやすいです。
□離婚前に子どもと生活している親が親権者と認められやすい
裁判所は離婚前に子どもと一緒に生活している親を親権者とすることが多いです。
なので、離婚前に父親と母親が別居していて、父親が子どもと同居して育てている場合は、父親が親権者として認められやすいです。
離婚前に別居しようと考えている場合は、絶対に子どもを連れて家を出るようにしてくださいね!
□子どもの意見も重視される
誰が親権者と指定されるかについては、子ども自身の意見も重要になります。
特に子どもが15歳以上の場合、家庭裁判所は親権者を誰にするかについて、子どもの意見を聞かなければいけないことになっています。
□不倫したなど、離婚の原因をつくった者でも親権者になれる
親権者を誰にするかは、子どもの利益をいちばんに考えます。
そのため、夫婦関係をこわした責任があるかではなく、子どもを育てるのにふさわしいかで判断されます。
なので、たとえば不倫をした母親も、きちんと子どもを育てられるのであれば、親権者として認められます。
□収入が少なくても、親権者になれる
専業主婦(専業主夫)である、パートでしか働いていないなど、収入が少ない場合でも、親権者になれます。
養育費や親族(祖父母など)からの金銭の援助などがあれば、親権を得られる場合も多いです。
□精神的・肉体的に大きな病気を抱えている場合は、親権者として認められない可能性がある
精神的、肉体的な病気をかかえている、精神的に不安定な面があるため、子育てが難しい場合は、親権者として認められにくいです。
□離婚前に子どもの世話をしていた方が親権者として認められやすい
離婚前に子どもの世話をしていた方の親、子どもの教育をしていた方の親が親権者として認められやすいです。
また、離婚後に子どもと一緒に過ごせる時間が多いほうが、親権者として選ばれるのに有利です。
□兄弟姉妹の親権者はなるべく一緒にされる
兄弟姉妹が離婚でバラバラにならないように、兄弟姉妹の親権者はなるべく一緒になるようにされます。
5.親権者となるための準備
□離婚をする前に別居する場合は、子どもを連れて行く
子どもを置いていくと、相手が親権者になってしまう可能性があります。
□子どもの生活環境を整える準備をする
離婚後に子どもを転校させるか、塾や習い事をどうするかなどを調べて準備しておきます。
□離婚後に子育てを協力してくれる人を準備
自分が病気になった場合や、仕事を休めない場合など、いざという時に子育てを手伝ってくれる人が必要です。
自分の父母、親戚、友人、保育園、ベビーシッターなどの準備をしておきましょう。
市区町村で、ひとり親家庭の子どもを預かるサービスなどをしている場合もあります。
□市区町村のひとり親に対する援助を調べておく
離婚後に住む市区町村のひとり親に対する援助をホームページや市区町村役場においてある冊子などで調べておいてください。
援助金の支払、無利子や低金利でのお金の貸付、子どもを預かってくれる制度、ひとり親の就職の支援など様々な制度があります。
全国共通の援助だけでなく、その市区町村が独自に援助を行っている場合も多いので、あらかじめ調べておいた方が良いです。
□収入の確保
今の時点では、専業主婦などご自身の収入がない場合でも、問題なく親権を得ることができます。
養育費や児童扶養手当(18歳未満の子を養っているひとり親に支給されるお金)などがありますし、働けない場合は生活保護を得ることができるからです。
ただ、離婚後に子どもとよりよい生活をするためにも、ご自分のケースでは、離婚でどのような収入や手当が得られるかを調べて計算しておきましょう。
収入や手当として考えられるお金
●自分が働いて得られるお金
…ひとり親家庭の就職支援を行っている市区町村も多いので、就職や就職のための資格取得などを考えている人は、離婚後に住む市区町村役場で調べてみてください。
●相手からの養育費
●自分の親兄弟などからの援助
●児童手当
…ひとり親だけでなくすべての0歳から中学生までの子どものいる家庭に支給されるお金
●児童扶養手当
…18歳までの子どもがいるひとり親家庭などに支給されるお金
●特別児童扶養手当
…20歳未満の肉体的あるいは精神的な障害がある子どもを育てている家庭に支払われるお金
●障碍児福祉手当
…身体的または精神的な障害があるために日常生活を自力で送ることができず、常時介護を必要とする20歳未満の子どもに支払われるお金
●生活保護
…離婚後に子どもが小さくて働けない、ご自身が精神的・肉体的な病気を抱えていて働けないなどの場合は、迷わずに離婚後は生活保護を申請しましょう。生活保護を受けようとしている場合は、ご自分の場合は、いくら生活保護費が支払われるかを調べて置いてください。
●児童育成手当
…東京都の場合は、18歳までの児童を扶養する母子家庭が対象で、児童1人につき月額13,500円が支給されます。お住いの市区町村でこの制度があるかが違うので、市区町村役場に問い合わせてください。
□子どもの意思の確認
子どもがある程度大きくて、自分の意思がちゃんとある場合には、「離婚後に誰と住みたいか、引っ越しや転校などについてどうしたいか。」といった要望をあらかじめ聞いておいてください。
ただし、デリケートな問題なので、子どもに自分の意見を押し付けたり、どちらと住むのかという判断を迫ったりしないように気を付けてください。
6.親権を勝ち取るための証拠を集めましょう
6-1.なぜ証拠が必要なの?
離婚裁判で親権者として認められるには証拠が必要
親権の争いが話し合いで決着がつかずに裁判になる場合は、裁判所が誰が親権者としてふさわしいのかを判断します。
そのため、自分が親権者としてふさわしいという証拠を裁判で提出する必要があります。
協議離婚の場合も証拠があると有利
また、夫婦の話し合いで親権者を決める場合も、相手に、「自分の方が親権者としてふさわしい」という証拠を見せることで、納得させることもできます。
証拠がきちんとあれば、「話し合いで親権者が決まらずに、裁判になったとしても、こんなに証拠があるから自分が親権者として認められる!だから、もめても無駄だ」!と主張することができるからです。
6-2.親権を勝ち取るための証拠は、何があるの?
□子どもの状況がわかる資料を保管しておく
母子手帳、お薬手帳、幼稚園・保育園・学校との連絡帳、学校の通知表、習い事の連絡帳などを準備しておく。別居する際にはきちんと持って出るようにしてください。
連絡帳はほとんど自分が記載していたなど、自分のかかわりを示せると有利です。
そうでない場合も、資料として必要なので、きちんと管理しておいてください。
□別居中に面会交流をしていた場合は、その資料
写真や日記などで、面会交流の状況を資料として残しておいてください。
相手ときちんと面会交流をさせていたということは、親権者として認められるための有利な証拠となります。
また、面会交流中の虐待や連れ去りなど、トラブルがあった場合はその証拠を残しておいてください。
□離婚前の子どもと自分の関わり合いがわかる日記や写真、メール、LINEなど
ご自分と子どもの関わり合いの深さがわかるような日記や写真メール、LINEなどを用意しておいてください。
ただし、日記はパソコンやスマホのメモなどに記載していると後から書き変えられるので、手書きの方が良いです。
□一日のスケジュールのメモの作成
起きてから寝るまで、子どもと1日をどのように過ごしているかという1日のスケジュールを作成しておくとよいと思います。
そうすると、子どもの世話を自分がきちんと行っていて、子どもにとって自分が必要であることをアピールできます。