裁判で離婚する場合には、裁判所があなたを親権者として認めるポイントがいくつかあります。
協議離婚や調停離婚は、夫婦で話し合って親権者を決めるため、親権者となるための条件などはありません。お互いに話し合って決めれば、どちらが親権者になってもかまいません。
ただ、このポイントを押さえていれば、「裁判になっても私が親権者になれます。」といえるため、交渉がしやすいです。
チェックポイント
□母親が親権者として認められやすい
母親が親権者となるのは全体の約9割、父親が親権者となるのは約1割程度です。
子どもが小さい場合は特に母親が親権者と認められやすいです。
□離婚前に子どもと生活している親が親権者と認められやすい
離婚後に、急に環境が変わってしまうと子どもにストレスを与えてしまいます。
そのため、裁判所は離婚前に子どもと一緒に生活している親を親権者とすることが多いです。
つまり、離婚前に同居している親が子どもを虐待している、重大な病気や依存症などがあり子どもを養育できない、といったような特別な事情がない限り、現在、子どもと同居して育てている親が親権者として指定されることがほとんどです。
離婚前に別居する場合は、絶対に子どもを連れて家を出るようにしてください!
□子どもの意見も重視される
誰が親権者と指定されるかについては、子ども自身の意見も重要になります。
特に子どもが15歳以上の場合、家庭裁判所は子どもの意見を聞かなければいけないことになっています。
□不倫など離婚の責任がある者でも親権者になれる
不倫など、離婚の原因を作った側であっても、親権者になれます。
親権者を誰にするかは、子どもの利益を第一に考えるので、夫婦関係を壊した責任があるかではなく、子どもを育てるのにふさわしいかで判断されるのです。
□経済力がない親でも親権者になれる
専業主婦(専業主夫)である、パートでしか働いていないなども、親権者になれます。
それよりも、きちんと子どもの面倒をみられるかということが重視されるからです。
ただ、今は専業主婦だったとしても、離婚後はきちんと働くつもりがあることなどを主張してください。
□親が精神的・肉体的に問題がある場合は親権が認められないこともある
精神的、肉体的な病気をかかえている、精神的に不安定な面があるといった場合には、親権者としてふさわしくないと判断されるおそれがあります。
病気がある場合などは、問題なく子育てができるというような診断書をもらっておくとよいでしょう。
□子どもへのかかわりが大きい方が親権者として認められやすい
離婚前に子どもの世話をしていたか、教育への関わり方などからも、適切な子育てができる親かが判断されます。
また、離婚後に子どもと一緒に過ごせる時間が多いほうが、親権者として選ばれるのに有利です。
□兄弟姉妹は同じ親権者になるように配慮される
兄弟姉妹が離婚でバラバラにならないように、兄弟姉妹の親権者はなるべく一緒になるように配慮されます。
□離婚後に相手に面会交流を認めるつもりがあることを主張したほうが良い
子どもの成長にとって、父親と母親の両方の愛情を受けるということは非常に重要です。
したがって、離婚後に自分が親権者になることを希望としても、相手との面会交流(定期的に会ったりすること)を全く認めないと主張することは不利になります。
ただし、相手が子どもを虐待する場合や、相手に酒乱、薬物使用、犯罪行為などの問題行為がある場合、子どもを連れ去る恐れがある場合、子どもが相手の面会交流を拒否している場合などは、面会交流を認めなくてもかまいません。