1.協議離婚とは
夫婦が離婚することを決め、離婚届を提出して離婚を成立させる離婚の方法を言います。
離婚の90%は協議離婚です。
1番簡単で、早く離婚ができるので、まずは協議離婚をすることを考えましょう。
離婚の種類
- 協議離婚(きょうぎ・りこん)
…夫婦で話し合って「離婚をします。」と決めて、離婚届を出す離婚の方法。 - 調停離婚(ちょうてい・りこん)
…家庭裁判所で、調停委員という男女2人の人に間に入ってもらって、夫婦で話し合いを行う離婚の方法。夫婦で「離婚します。」と決めないと調停離婚はできない。 - 裁判離婚(さいばん・りこん)
…夫婦の話合いがまとまらないので、協議離婚も調停離婚もできない場合におこなう裁判で離婚。裁判官が、離婚するかしないか決定する。
2.協議離婚に弁護士は必要か
ただ、弁護士に依頼したほうが安心です。
自分のケースは弁護士が必要かチェックしてみてください。
2-1.弁護士が必要な場合のチェックリスト
これに1つでも当てはまる場合は、弁護士に依頼したほうがいいです。
□民事法律扶助(お金がなくても弁護士に依頼できる制度)を利用できる場合
収入も財産もあまりない方については、「民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)」という制度が利用できます。
「民事法律扶助」というのは、無料で法律相談ができたり、弁護士費用を国が貸してくれる制度です。
□どうしても勝ち取りたいものがある場合
離婚をする場合には、数十万から数百万円の弁護士費用がかかります。
どうしても離婚したい場合や、どうしても親権を得たい場合など、弁護士費用を払う以上に得たいものがある場合は、弁護士に依頼したほうが良いです。
□離婚で得られる金額が大きい場合
高額な慰謝料や財産分与でもめているなど、弁護士費用よりも、離婚が成立して得られる金銭の方が大きい場合は、弁護士に依頼しましょう。
□DV・モラハラ・ストーカーなど、相手と直接話し合いができない場合
DVやモラハラやストーカーなどの場合は、弁護士に間に入らないと離婚の話し合いを進めるのが難しいですし、危険さえあります。
そのような場合は、弁護士に頼んだ方が良いです。
□忙しい・うつになってしまったなど、自分で交渉することができない場合
相手の浮気やDVなどで離婚しようとする際には、精神的にきつくて相手と交渉するのがしんどい人がほとんどだと思います。
場合によっては、うつになってしまう人も少なくありません。
そんな場合は、弁護士に任せた方が良いでしょう。
□自分で離婚の準備や手続きをすることができない場合
このサイトでは、個人が離婚手続きをできるように、なるべくわかりやすく説明しています。
それでも、自分で行うのが難しいのであれば、無理をせずに弁護士に頼んたほうがよいでしょう。
□離婚が裁判になる可能性が高い場合
協議離婚や調停離婚は弁護士に依頼せずに行うことも可能な場合も多いです。
しかし、裁判離婚は法的な知識や手続きが必要なので、弁護士に依頼せずに行うことは難しいです。
なので離婚の話合いがうまくいかず、将来、裁判になる可能性が高い場合は初めから弁護士に頼んだ方が良いです。
2-2.弁護士にかかる費用の目安
法律相談の弁護士費用
=30分あたり5千円~1万円
*離婚の弁護を依頼しないで、法律相談だけをした場合
協議離婚の弁護士費用
=20万円~60万円
3.協議離婚の進め方
①夫婦の両方が離婚をすることに同意する
↓
②夫婦で話し合って、慰謝料、財産分与、親権者などの離婚の条件を決める
↓
③話し合いで決まった離婚の条件を離婚協議書に記載する
↓
④作成した離婚協議書を公正証書にする
↓
⑤離婚届を作成し、市区町村役所に提出する
*③④はやった方が良いですが、やらなくても協議離婚は成立します。
4.離婚届を提出する前に必ず決めること
4-1.夫婦で「離婚する」と決める
離婚届を出すには、夫婦の両方が「離婚する」と決めることが必要です。
勝手に相手の名前を署名して離婚届を出すことはできません。
ただし、相手が自分で離婚届に署名すればOKです。あとで、気が変わっても離婚届を出してしまえば、離婚は成立します。
4-2.未成年の子どもがいる場合は親権者の決定
離婚届には、未成年の子ども(0歳から17歳)の名前とその親権者は誰かを書く場所があります。
つまり、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、親権者が誰かを決めなれば離婚届を提出することはできません。
離婚原因を作った方の親や、収入がない方の親を親権者にすることもできます。
5.離婚届を出す前にできれば決めておいた方がいいこと
5-1.慰謝料、財産分与、養育費などは、協議離婚(離婚届の提出)の後に決めることができるか?
パターン1・パターン2のいずれの方法もOKです。
◎パターン1
慰謝料・財産分与・養育費などの離婚の条件を決める→そのあとで離婚届を提出する。
△パターン2
離婚届を提出する(=協議離婚が成立する)→そのあとで慰謝料・財産分与・養育費などの離婚の条件を決める。
離婚届を出した後に離婚の条件を決める場合は、話し合いで離婚の条件を決めることもできます。調停や裁判で慰謝料などの額を決めることもできます。
きちんと、離婚の条件を決めてから離婚届を出すようにしよう。
5-2.離婚届を出す前に決めておいた方がいいこと
□慰謝料
精神的な苦痛を受けた場合に、それをつぐなわせるために請求する金銭を慰謝料といいます。
例えば、不倫によって精神的な苦痛が生じた場合や、暴力によって、精神的な苦痛・肉体的苦痛が生じた場合などに、相手に慰謝料を請求することができます。
□財産分与
離婚する場合には、結婚後に夫婦でためた貯金や不動産などの財産を分けることになります。これを財産分与といいます。
□子どもの養育費
離婚によって、妻が親権者になった場合、夫に対して子どもの養育費を請求することができます。
夫が親権者になった場合、妻に養育費を請求することができます。
□子どもの面会交流
親権者ではない親が子どもに会うことを面会交流といいます。面会する場所や日時なども決めておく必要があります。
□年金分割
夫が会社員などで厚生年金に加入している場合は、結婚期間中に支払っていた厚生年金保険料に対してもらえる年金の2分の1を受け取れる場合もあります。
6.離婚届を出す前に、離婚協議書を作成しよう
しかし、「養育費・慰謝料・財産分与などの離婚の条件を決める→それを離婚協議書にする→それを公正証書にする→離婚届を出す」ということを行ってください。
そうすれば、相手が養育費・慰謝料・財産分与などのお金の支払いをしない場合に相手の財産を差し押さえてそこから支払いを受けられるからです。
6-1.離婚協議書って何?
離婚協議書は、協議離婚をする際に、慰謝料・財産分与・親権者・養育費・面接交流・年金分割など、夫婦間で取り決めた離婚の条件を書いておく文書です。
離婚協議書は役所などに提出するものではありません。
夫婦で決めたことの証拠とするために、2部作成して夫婦それぞれで保管します。
6-2.なぜ、離婚協議書を作る必要があるの?
離婚届には、慰謝料、養育費、財産分与などを記載する欄はありません。
決めたことを文書にしないで口約束だけにしてしまうと、後になって、「そんなことは言っていない。」ともめる原因になります。
なので、夫婦で何を取り決めたのかを文書で残しておく必要があるのです。
6-3.離婚協議書の書き方にきまりはあるの?
離婚協議書は役所に提出しなければならな文書ではなく、夫婦で決めたことを確認するための文書なので、必ずこう書かなければならないというきまりはありません。
ただ、いくつか大事なポイントがあるので、そのポイントを守って書くようにしてください。
7.できれば離婚協議書を公正証書にしましょう。
離婚協議書を作成した後で、それを公正証書(執行認諾文言付公正証書=しっこうにんだくもんごんつき こうせいしょうしょ)にしておくことをおすすめします。
公正証書(執行認諾文言付公正証書)を作成すれば、慰謝料や養育費などが支払われない場合に、裁判をせずに相手の財産や給与などを差し押さえることができるからです。