1.養育費が支払われない場合は多い
現在、母子家庭のうちで、養育費をの支払いを受けている家庭は全体の4分の1しかありません。
養育費の支払いを受けていない人が多いのは、離婚するときに養育費の取り決めをしていないケースが多いからです。
母子家庭の約半数が離婚をするときに養育費の取り決めをしていません。
離婚を成立させる際には、できるだけ養育費も決めた方が良いですし、離婚の際に養育費について定めていなくても離婚後に養育費を請求することができます。
また、養育費を決めたのに、相手が支払わない場合も非常に多いです。
2.養育費を決めたのに、支払われない場合にできること
- 養育費の履行勧告
裁判所が相手に養育費を支払うように連絡すること - 養育費の履行命令
裁判所が相手に一定の期限を定めて支払うように命じること - 強制執行
相手の財産を差し押さえてそこから支払いを受けること - 養育費の保証会社を利用する
養育費の支払いがない場合に、保証会社が相手に支払いをさいそくしてくれたる。支払がない場合は、保証会社が養育費の立て替え払いをしてくれます。
強制執行をすれば相手の財産を差し押さえて、そこから支払いを受けることができます。強制執行をする場合は、個人でやるのは難しいので、弁護士に依頼したほうがいいです。
3.養育費の履行勧告・履行命令
養育費について決めたのに、相手から支払がない場合、家庭裁判所に履行勧告をしてもらうように申立てをすることができます。履行勧告があっても養育費を支払わない場合は、家庭裁判所へ履行命令を申立てることができます。
3-1.履行勧告・履行命令ができる場合
履行勧告・履行命令は、家庭裁判所の調停や審判で養育費の具体的な取決めが行われた場合のみ利用できます。
父親・母親の話し合いで養育費の取り決めをしただけで、調停や審判で決められたのではない場合は、履行勧告・履行命令は利用できません。
3-2.履行勧告の効果
履行勧告では、裁判所から相手方に電話や書面などで、支払うように勧告をします。
しかし、履行勧告に従わなくても、相手に支払いを強制することはできません。
3-3.履行命令の効果
裁判所が一定の期限を定めて支払うように命じます。
それでも、相手方が履行命令に従わない場合、10万円以下の過料を支払わなければなりません。
3-4.履行勧告・履行命令を行う方法
履行勧告・履行命令は、養育費についての調停や審判を行った家庭裁判所に申し立てをしますが、申し立て方法は裁判所ごとに異なります。
くわしくは調停・審判手続を行った家庭裁判所に確認してください。
3-5.履行勧告・履行命令の費用
履行勧告・履行命令を行うのに費用はかかりません。手続きも簡単です。
4.強制執行をすれば財産を差し押さえることができる!
ただ、個人で強制執行を行うのは難しいから弁護士に依頼したほうがいいです。
弁護士に依頼する前に強制執行について簡単に押さえておきましょう。
4-1.差し押さえることができる相手の財産
・不動産…土地建物など
・動産…現金や高価な貴金属美術品など
・債権…預貯金や給料など
だから、相手に財産があるのかをちゃんと調べておくことが大切です。
4-2.相手の給料を差し押さえるのは非常に有効です
将来支払われる予定の給料についてもあらかじめ差し押さえておくことができます。
たとえば、毎月10万円の養育費を相手が支払ってくれないため、毎月10万円分の給与を差押えてた場合、それ以降、何もしなくても、会社が、毎月10万円を自動的に送金してくれることになります。
ただし、給料の全額を差し押さえると相手方が生活できなくなってしまうので、給与の半額までしか差し押さえることはできません。
また、相手方が退職してしまった場合は、それ以降の給与の差押はできません。
5.養育費の保証会社を利用する
養育費の保証サービスを行っている会社がいくつかあるので、保証料の支払いは必要ですが、そのような会社を利用するのも1つの方法です。
5-1.養育費の保証サービスを利用すると何をしてくれるの?
保証サービスを利用した場合、養育費が支払われないときは、保証会社が相手に支払いをさいそくしてくれるので、自分で相手方にさいそくをする必要がなくなります。
支払がない場合は、保証会社が養育費を代わりに支払ってくれます。
5-2.いつ、どのように保証会社と契約するの?
いろいろなタイプの保証契約があります。
保証の時期
・離婚手続き中に保証会社と契約をするタイプ
・離婚手続き後に養育費が支払われない場合に保証会社と契約をするタイプ
保証契約をする者
・元夫婦の両方が保証会社が契約をするタイプ
・養育費をもらう側だけ保証会社と契約をするタイプ
など
5-3.養育費の確保の支援をしている市区町村もある
まだまだ少ないですが、養育費の保証会社を利用する場合に、その保証料を支払ってくれるなど市町村で養育費の確保の支援の取り組みをところもあります。
地方自治体によって実施しているか、どのような内容かが異なるので、離婚の際には、自治体に問い合わせをしてみると良いと思います。