離婚とお金

子どもの養育費の決め方は?金額は?

養育費とは

離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、その子どもの親権を夫か妻のどちらかに決める必要があります。

親権について詳しくは…離婚で親権を勝ち取るには?

子どもと同居して世話をしている方の親は、他方の親に対して、子どもを育てていくための費用を請求することができます。この費用を養育費といいます。

母親が親権者となって、養育費は父親が母親に払う場合が多いです。

しかし、父親が子どもの親権者として世話をしている場合は、母親が養育費を支払うことになります。

養育費を決める手続きの流れ

離婚をする際に、養育費も決めることが多いですが、先に離婚をして、その後に養育費をk

離婚の際に養育費を決める方法

離婚には、大きく分けて協議離婚(夫婦が話し合って離婚届を出す方法による離婚)・調停離婚(家庭裁判所で調停委員を間にはさんで夫婦で話し合って行う離婚)・裁判離婚(裁判で行う離婚)の3種類があります。

*離婚の種類については…離婚の3つの方法:協議離婚・調停離婚・裁判離婚ってなに?

養育費について決めずに離婚してしまうと、相手と連絡が取れなくなるなどして、養育費を請求することが困難になることも多いです。したがって、できるだけ離婚の際に養育費についても決めた方が良いです。

*協議離婚の手続きについては…協議離婚ってなに?:夫婦で話し合って離婚届を出す離婚
*調停離婚の手続きについては…調停離婚ってなに?:調停委員をはさんで話し合う離婚
*裁判離婚の手続きについては…裁判離婚(離婚裁判)ってどうやるの?

離婚後に養育費を決める方法

養育費について決めずに離婚が成立した場合であっても、離婚後に養育費を決めることもできます。

その際には、①元夫婦間で話し合って養育費を定める方法、元夫婦2人での話し合いが困難なようであれば②調停で定める方法、調停で定めることが難しいようであれば、③審判で定める方法があります。

①元夫婦間での話し合い

まずは相手方に連絡を取り、話し合いで養育費の支払いを決めていきます。

話し合いで養育費が決められた場合は、公正証書にしておいた方が良いです。

公正証書というのは、公証役場に足を運んで公証人の立会いの元、作成します。公正証書という形にすることによって、相手が養育費を支払わない場合に、比較的簡単な手続きで相手の財産を差し押さえることができます。

なお、公正証書の作成には次の手数料が発生します。

②養育費請求の調停

元夫婦の話し合いで養育に火ついて決められない場合は、家庭裁判所に養育費請求の調停を申立てることができます。

①元夫婦間での話し合いをせずに、いきなり②調停を申し立てることもできます。

調停というのは、調停委員が当事者同士の間に入り、双方から収入の状況や子どもの状況などを聞き、話し合いで解決に導いてくれる制度です。

 

養育費請求の審判

調停で元夫婦で養育費について話し合っても決着がつかない場合は、手続きは自動的に審判へと移行します。

養育費請求の審判では、調停での話し合いをふまえた上で、裁判官が養育費の支払い方法や金額などを判断する制度です。裁判所による判断ですので、元夫婦の意見がまとまらなくて審判により養育費が決定されます。

養育費に関して決めること

夫婦の話し合い、調停、審判など、どの方法で養育費を決める場合でも、以下のことを決める必要があります。

①養育費の金額

②養育費を支払う期限

子どもが何歳になるまで支払うといった期限を定めます。

③養育負の支払方法
毎月定額で支払うか、一括で支払うかなどのを決めます。

養育費の金額

養育費の算定の際には、裁判所の作成した養育費算定表を用いてそれを参考にすることが多いです。

参考:養育費算定表

”養育費 計算ツール”と検索すると、この養育費計算表で計算するといくら養育費をもらえるのかをシュミレーションできるサイトがいくつかあるので、参考にしてみると良いと思います。

養育費は養育費算定表と同じ金額にしなければならないの?

協議離婚で離婚する際に養育費を定める場合や、離婚後に元夫婦で話し合って養育費を定める場合は、養育費をいくらにするかは夫婦(元夫婦)の自由です。したがって、養育費算定表に比べて大幅に高額、あるいは少額の養育費を定めることができます。養育費をゼロとすることも可能です。

調停離婚で離婚する際に養育費を定める場合や、離婚後に調停で養育費を定める場合は、調停委員から「算定表の額を参考にしてください。」と提案されることもありますが、この場合も、夫婦の話し合いで自由に額を決めることができます。

裁判離婚で離婚する際に養育費を定める場合や、離婚後に審判で養育費を定める場合は、算定表の額を参考に、裁判官が養育費を定めます。

しかし、特別な事情があることを主張しすれば、裁判官が算定表よりも高額、あるいは低額の養育費を定めることもあります。

養育費の支払い期間

養育費はいつからもらえるの?

養育費は、原則として請求した時点以降からもらえることになります。過去に遡って請求することはできません。

そのため、離婚した時に、養育費についてきちんときめておくことが大切です。

養育費はいつまでもらえるの?

養育費が請求できるのは、原則として子が20歳になるまでです。

子どもが就職した場合は?

子供が20歳に達するまでに就職し、経済的に自立している場合には、子供が20歳未満であっても親による養育は不要です。そのため、養育費の支払いが不要となる場合もあります。

子どもが20歳を超えても学生の場合は?

大学進学などの事情がある場合には、夫婦間での話し合いにより、子供の年齢が20歳を超えても養育費を支払うという定めをすることができます(話し合いや調停で決める場合)。

たとえば、
「子供が大学に進学する場合には、大学を卒業する月まで養育費を支払う」
「子供が22歳に達した後に到来する3月末日までを養育費の支払い期間とする」(つまり、浪人や留年をした場合には、卒業前であっても養育費を支払わないということです)
といった定め方をすることができます。

これに対して、裁判所が養育費の支払いに関する判断を出すときには、子供が大学に進学する可能性があるとしても「20歳に達する月まで」とされることが通常です(離婚裁判で養育費についても定める場合や、離婚後の養育費請求審判で定める場合)。

ただし、すでに子供が大学に進学しているケースなどでは、卒業時までの養育費支払命令がなされることもあります。

子どもに障害がある場合はいつまで?

子供の心身に障害があって、20歳になっても働けない場合がありますが、このような場合、養育費はいつまでになるのでしょうか?

父母の話し合いにより、養育費を定める場合は、支払期間を20歳よりも上の年齢にすることができます。
また、裁判所が判断をするときにも、養育費支払期間を20歳よりも上の年齢にし、その代わり金額を減額することで調整するケースもあります。

養育費の支払いは分割?一括?

毎月払いが原則

養育費は、子を養育する親が子を監護していくのに必要な日々発生する費用ですから、その性質上、定期的に支払われる必要があります。

従って、養育費の支払方法は、毎月払いが原則です。実際の取決めは圧倒的に毎月払いが多いです。

一括払いにすることもできる

もっとも、父母の話し合いによって養育費の支払い対象となる全期間の分を一括払いすることを条件として定めることもできます。(協議離婚、調停離婚や離婚後の話し合いや調停で養育費を決める場合)。

現実には、長期間に渡る養育費の支払いは、支払い対象期間の途中で滞納が生じたり、支払いが完全に止まってしまうことも多いです。

このため、離婚のときに一括払いで全期間分の養育費が支払われることは、養育費を受け取る側としてはたいへん有利です。

ただし、家庭裁判所が離婚裁判や養育費請求審判で養育費を定める場合は、養育費の一括払いはなされないことが多いです。

養育費は日々の生活のために支払うものですし、一括払いの養育費の支払いを受けた側が、養育費以外の用途に使ってしまった場合、未成年者が生活していけなくなるおそれがあるからです。

養育費の支払先

支払口座については、相手方名義の口座宛てに振り込むことが一般的ですが、子供名義の口座を開設し、その口座宛に振り込む方法も可能です。

養育費は後で増額や減額はできるの?

養育費の増額や減額を請求できる?

一度決めた養育費も、父親・母親・子どもについての事情に変更があった場合には、増額あるいは減額の請求ができます。

たとえば、子どもが大病を患って多額の医療費がかかるといった事情や、進学に特別の費用が必要になった場合には、増額の主張することができます。

逆に、養育費を支払う側が、病気やケガ、不況により収入が激減したなどの事情がある場合です。

ただし、多少の事情変更では増額や減額の請求は認められません。

養育費を増額・減額を請求する方法

父親と母親の話し合い

父親と母親との話し合いをして、両方の合意を得られれば、養育費の増減や減額をすることができます。

この場合、話し合いの内容は公正証書にした方が良いです。公正証書にすれば、養育費が支払われない場合、比較的、簡単な手続きで相手の財産を差し押さえることができるからです。

すでに養育費について公正証書が作成されている場合でも、その内容を変更することにより増額あるいは減額を公正証書の形で残しておくことができます。

家庭裁判所の調停、審判

父親と母親の話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に対して調停申し立てます。

調停というのは、調停委員を間に挟んで父親・母親で話し合う手続きです。

家庭裁判所で調停を行っても双方で合意が得られない場合は、自動的に審判へと移ります。

これまでは話し合いでしたが、ここからは裁判所が介入して増額するべきか否かを判断します。

養育費が請求できない場合もあるので注意しましょう

原則として請求した以降の養育費しかもらえない

養育費の支払いは原則として、養育費請求を行った以降の分だけしか認められません。
たとえば、離婚の時には養育費の取り決めをしておらず、半年後に養育費を請求した場合、請求する前の半年分の養育費についてはもらえません。

養育費が時効で消滅する場合もある

時効というのは、権利があっても長期間、請求をしない場合には、その権利が消滅してしまうという制度です。

養育費についてまだ決めていない場合

養育費は時効による消滅はしません。

協議離婚の時の話し合い、あるいは離婚後の話し合いで養育費を決めた場合(公正証書を作成している場合も、作成していない場合も同じ)

養育費の支払い期限から5年で養育費の支払い請求権は時効で消滅します。

例えば、2020年1月1日、2月1日、3月1日…と毎月支払うことが決められている場合は、1月1日から5年、2月1日から5年、3月1日から5年…というようにそれぞれの支払い日から5年で消滅します。

調停離婚・裁判離婚の際に養育費が定められた場合、離婚後の養育費請求の調停や審判で養育費が定められた場合

過去の未払いの養育費については、調停・裁判・審判が確定した時から10年で消滅します。

調停・裁判・審判の確定時以降の将来の養育費については、支払期限から5年で消滅します。

時効の期間が過ぎていても養育費がもらえる場合もある

 支払期限から5年、調停・裁判・審判の時から10年といったような、上記の期間が過ぎていても、相手が支払ってくれる場合は、養育費は消滅しません。
また、上記の時効の期間が過ぎる前に、相手が養育費の支払いを認めていたり、相手に支払いを請求していた場合などは、養育費は5年、10年といった期限が過ぎていても消滅しないこともあります。
時効は法律上の難しい問題を含んでいるので、養育費が支払われずに何年か経過してしまった場合は、早く弁護士に相談したほうが良いでしょう。

どちらかが再婚したら養育費はどうなるの?

再婚したら養育費の支払いは終了するの?

養育費を支払う側や受け取る側が再婚しても、父母と子どもとの関係がなくなるわけではないので、原則として、養育費の支払いは終了しません。

しかし、どのような場合でも、話し合いで父親・母親が合意をすれば、自由に養育費の支払いを終了させたり、減額したりすることができます。(調停で合意した場合も同じです。)

また、養育費の支払い終了や減額を請求することにより、家庭裁判所の審判で、それが認められる場合もあります。

養育費をもらう側が再婚した場合、養育費は請求できなくなるの?

ケース1

離婚後、母親が親権者となって子どもを育てていましたが、その後、母親が再婚し、子どもは新しい父親と養子縁組をしました。この場合、父親は養育費を払う必要はなくなるのでしょうか?

※子連れで再婚をした場合、新しい父親(あるいは新しい母親)と養子縁組をすることができます。養子縁組をした場合は新しい父親(あるいは新しい母親)も親権者になります。

もちろん、話し合いで実の父親・母親が合意をすれば、自由に養育費の支払いを終了させたり、減額したりすることができます。

実の父親が家庭裁判所に養育費の支払い終了や減額を請求した場合、新しい父親の収入が高いケースなどでは実の父親の養育費がゼロになるあるいは減額されることもあります。新しい父親が病気で働けないなどやむをえない事由で収入が低い場合は、養育費の支払い終了・減額は認められにくいです。

ケース2

離婚後、母親が親権者となって子どもを育ており、その後、母親が再婚しましたが、子どもは新しい父親と養子縁組をしていません

。この場合、父親は養育費を払う必要はなくなるのでしょうか?

※子連れで再婚をしても、新しい父親(あるいは新しい母親)と養子縁組をしないこともできます。養子縁組をしない場合は新しい父親(あるいは新しい母親)は親権者にならないので、法律上は連れ子を養ったりめんどうをみたりする義務はないということになります。

もちろん、話し合いで実の父親・母親が合意をすれば、自由に養育費の支払いを終了させたり、減額したりすることができます。

養育費を支払う側が再婚したら、養育費は支払わなくてよい?

ケース2

離婚後、母親が親権者となって子どもを育てていましたが、その後、父親が再婚しました。この場合、父親は養育費を払う必要はなくなるのでしょうか?

父親(養育費を支払う側)が再婚したからと言って、家庭裁判所は養育費の不払いや減額を認めるわけではありません。

しかし、父親は再婚すると、新しい妻を養わなければなりません。新しい家族にも子どもができた場合には、その子どもも養わなければなりません。

再婚したと言っても父親の給料が上がるわけではありませんから、父親は以前と同じ給料から、離婚した側の子どもと新しい妻や子どもの2つの家庭に支払いをしなければなりません。そこで、再婚した父親が養育費を減額請求をした場合には、裁判所がそれを認める場合もあります。

養育費と税金

養育費は、子どもの生活費などを父母で分担するために支払われるものです。そのため、養育費の支払いは贈与ではないため、原則として贈与税などの課税はされません。

ただし、養育費を一括払いにする場合は、支払う金額がその時点において必要な限度を超えるものとみなされて、贈与税の課税を受ける可能性のあるため、注意してください。

 

*この記事は投稿時の法律や資料に基づいて作成されています。